「新九郎奔る!」
今日はマンガ「新九郎奔る!」のお話です。
帯にもある通り、戦国大名の嚆矢としても有名な、北条早雲の物語です。
まだ第1巻で少年時代、伊勢新九郎の時代(元服後、盛時と名乗る)かつ
応仁の乱前夜頃を描いていますので、人間関係を含めてややこしいこと
この上ない。。という状況です。(ま、正直いえば、生涯ずっと
境遇的にはややこしいのですが…。)
かつては、下克上の一代記として語られる物語でしたが、近年の研究で、
以下の事がわかってきています。
・元々は、室町幕府政所執事(今なら官房長官か財務大臣クラス)を世襲する、
・家柄的には、当時の上流階級に属し、幼いころから将軍近侍することも
でき、申次衆・奉公衆と幕府役職を歴任した。
・有名な話として、今川氏の家督争いを調停し、自分の姉(または妹)の子
を家督に据えた(後の今川氏親、今川義元の父)功績で駿河に所領を与えられた
ことが飛躍の足掛かりになった。とされているが、
これは、幕府の意向もあり、また、申次衆の権力を背景とし調停したもの
と解釈されている。(所領が与えられたのは事実)
・伊豆で独立勢力として旗揚げした時は、奉公衆(将軍直属の軍事部隊)として
堀越公方殲滅の軍事行動中であったらしい。
・生涯を通じて、「北条」の苗字を名乗った公式な記録は見当たらない。
(北条姓が見られ始めるのは、子の氏綱以降)
とま。昔に比べると格段に研究が進んできてはいますが、
まだまだ謎の多い、背景を読み解くのが厄介な時代ではあります。